2013年6月9日日曜日

初めて英語よりスペイン語で話したいと思ったとき

来週からバルセロナに出張に行ってきます。バルセロナ ああバルセロナ バルセロナ。と、バルセロナという街に対して日本的情緒で思いを馳せるのはなんか倒錯していますね。こういうとき、やっぱり日本人なんだなと思います。そういえば昔、在西暦十年以上の日本人が「日本に居たときは中島みゆきが大好きだったけど、スペインに来てしばらくしてから全く聴く気がなくなった」と言ってた話を思い出します。日本的なフォークの感性って「いつでもどこでも楽しい」スペイン人と対極にあるので、そうなるのはすごくよく分かる気がします。

さて。そんなスペインですが。3年前にスペインでの生活を開始した直後はそりゃ色々と大変だったのですよ。なにせ言葉がほとんど分からなかったので。一応スペイン語の基礎みたいなのは勉強して行ったのですが、最初は電車の中で人がカタラン語で話してるのか標準スペイン語で話してるのか、その区別さえ出来ませんでした(9ヶ月くらい経ったら「理解できなかったことはカタランだったことにする」という習慣が定着したのですが)。しかもそんな状況で家をさがしたり役所(スペインの外国人局の職員はほとんど英語なんて喋れません)をまわったりといったことをやらなければいけないので、さすがに色々しんどかったです。この時期は、カラオケ屋にいって大声で歌いたいとよく思いました。

当然この当時は、とりあえず英語で話してくれる人がすごく有り難かったです。少なくとも職場の中は全員英語ができるので最初はほとんど英語で会話していました。しかしそれも「英語で話してもらってる」という感じはどうしてあった上に、僕に気を使ってわざわざ英語で話してくれてる内容がわからなかったりすると本当に申し訳ない気分になったものです。この頃は自分のことを「もしもこの職場が悪魔超人だったら、英語さえも不自由な自分は明らかに一番弱いステカセキング」だと思ってました。

しかしながら、辛い思いをしながらもしばらく生活しているうちに少しずつスペイン語にもだんだん慣れてきまして。ある日、スウェーデンからきていたERASMUS(ヨーロッパ内での交換留学制度)の学生と英語で話しているときに「今この人とスペイン語で話したい」と初めて思ったのです。なぜかって、彼の英語が訛ってる上に流暢過ぎて何言ってるか全然わからなかったからです。で、ためしにスペイン語で話してみたらだいぶ会話しやすくなったのです。彼は短期滞在なのでそんなにスペイン語ができるわけでもなければ、そんなに熱心に勉強しているわけでもないので、僕とスペイン語のレベルがだいたい釣り合っていたのです(って言ってもそれなりに頑張ろうとしてた僕と大差ないレベルだったんですけどね)。

僕だってスウェーデン人の彼だって、絶対的な語学力はどう考えても英語の方が上なんですが。それでもスペイン語で会話した方が(すくなくとも僕には)スムーズだったということは。つまるところ、快適にコミュニケーションするには絶対的な語学力の高さよりも、お互いの語学力の相対的なレベル差が少ない事のほうが大事なのかもしれないと思ったわけです。

ではとりあえず行ってきます。たぶん思ってる以上にスペイン語がヘタになっててしょんぼりして帰ってきそうな予感がするのですが。ともあれ、パンコントマテやパタタブラバスや生ハムや…アレやコレを食べれるだけでもヨシとしましょう。

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