2020年3月23日月曜日

トップバリューの玄関ドア

まことに小さな人間が、転換期を迎えようとしている。

とでも言わざるを得ないくらい、公私ともに人生の転換点に差し掛かってきました。公はちょっとおいといて、私の方については、家を買う話がほぼ決まりになりました。ぼんやりと家を探し始めたのは去年の夏前くらいでしょうか。そこから中古物件をチェックしては見に行くということを繰り返していたのですが、希望に見合うものを見つけるのが大変でした。例えば、隣家との距離が近かったり、小学校が遠すぎたり…そんな時間を経て、初めて「これなら買ってもいいかも」と思える物件をようやく見つけました。とはいえ、家を買う話が現実的になればなるほど、やれ火災保険はどうする、表札はどうする…といった具合に決めなければいけないことが沢山発生します。

そもそも、僕は「所有する」のがあまり好きではないのです。車でさえも、できれば所有せずにカーシェアリングみたいなシステムで共有されてた方がいいと思っています。なので、家も一生賃貸でも別に構わないつもりでした。本当は海外と日本を往復するようなキャリアを目指したかったので、家もずっと賃貸で全然構わないつもりでした。しかし、そういう転勤族キャリアがシステムとして確立されている文系職場ならいざ知れず、まだまだ昭和の製造業の文化の残る理系職場ではそれを期待し続けるのは厳しい。子供が一年後に小学校に上がるという段階になって、さすがに諦めざるを得なくなりました。

とりあえず家が決まったこと自体はよかったのです。それはその通りなのですが、「決めなきゃいけないこと」が次から次へと降ってくるとだんだん気分が落ち込んでくるのです。この状況は、例えて言うなら「マリッジブルー」に近いのかもしれません。結婚(ブライダル産業)と家を買うこと(住宅産業)は似ているところが多いように思えます。両者とも、お客さんは基本的に経験が無い素人で、失敗したくないと思いが強い。だから、誘導されるがままにアレもコレも安全サイドに振った挙句、結果的にボッタくられる。そうやって利益を出している業界であるということは共通しているように思います。

そこで本稿の表題にある玄関ドアなのですが。購入予定の物件の玄関ドアの損傷が割と目立つので、入居までに交換することになりそうなのです。しかし、玄関ドアって想像していた以上に高いのですよ。素人なりに自分が玄関ドアに払ってもいいと思っていた金額は数万円程度だったのですが。現実的にはどんなに安くても20万円程度はするもののようです。このように、自分の価値観が世間の常識と乖離しているという事実を突き付けられる瞬間というのは、家を買う上で一番辛い時間なのです。

こんなときにいつも、「じゃぁトップバリューの****でいいんだけどな。。」と思ってしまうのです。たとえば、
トップバリューの車
トップバリューのパソコン
トップバリューのトイレ
トップバリューの家なんてのも、あっていいかもしれない。
イオンはトップバリューであらゆるものを作る代わりに、国民は特にこだわる気の無い物は全部トップバリューで揃える…というシステムで良いのではないでしょうか?ここでいうトップバリューの車は、たぶん事実上はカーシェアリングなんかと近いものになるような気がします。こうやって考えると、イオンとトップバリューは「資本主義を突きつめた先に待ち受けている共産主義」を先取りしているかのようにも思えます。