2021年12月17日金曜日

オミクロン株と真鍋淑郎さんと眞子様

気が付いたら年の瀬になりました。12月に入ったくらいから「ああもう年末か。こうやってまた一つ歳をとるのか。」という侘しい感慨のようなものが時々頭に浮かんでくるようになりました。こんなことを思うようになったのは人生で初めてです。本当は誕生日にそういうことを考えるべきなのでしょうが。おじさんになると自分の誕生日なんて奥様と子供がケーキを食べる口実になるくらいでこれと言ったイベント感もないので、年末→新年というイベントの方がこういうサイクルを意識しやすいのでしょうかね。

僕はTwitterで海外在住日本人を沢山フォローしているので、オミクロン株への日本政府の水際対策の影響で、海外から入国に関して不自由を強いられている人達の話が毎日のようにTLに流れてきます。介護のために帰国しようとしていたのに、外国人の配偶者の入国が認められずに家族が離れ離れになってしまう問題に直面している人。あるいは入国はできても、その後の退屈で窮屈な隔離生活で辛い思いをしている人。親の死に目に会えるかという瀬戸際にいる人。色々な人の人生がTwitter越しに伝わってきます。海外在住の日本人にとってみれば、たとえ直近で帰国の予定は無かったとしても大きな問題なので、関心が高いのはとてもよくわかります。

僕は企業からの派遣という形で2年間スペインにいましたが、在住者の日本人には色々な人がいました。僕と同じように会社から派遣されてきたサラリーマンもいれば、留学してそのまま居ついてしまった人、言葉もわからないままスペイン人と結婚してスペインにやってきて、離婚後もそのまま日本に帰らずにスペイン居続ける人…事情はそれぞれですが、どのような立場の人にとっても日本は祖国であることに変わりはなく、また、「本当にどうしようもなくなったら、最後の最後は日本に帰ればいいや」と思えることは、海外で暮らす日本人にとって最後の拠り所のようなものだと思います。それはたとえ何十年海外に暮らしている人であっても大なり小なり同じようなものだろうと思います。

一方で、Twiitterを見ていると海外からの帰国者に対して、「今日本に帰ってくるなんて非常識」「それなりの覚悟を持って日本から勝手に出て行ったんだろう?」といった攻撃的な言葉を浴びせる人達がTwitterの世界にはいるようです。コロナ感染が騒がれた初期の頃の「自粛警察」を思い出させるような話ですね。そこを問題にするんだったら、オリンピックのためにデルタ株を感染拡大させて多くの被害を招いた日本政府、隔離措置なしで入国したバッハ会長、今も隔離もなく日本に入国できる米軍関係者など、もっと問題にすべきことが沢山あると思うのですけどね。おそらくこういう人は、不満があってもお上を批判しようとは思わない代わりに、自分が攻撃できそうな標的を見つけたら容赦なく叩いて快哉の声を叫びたいタイプの人なのだろうと思います。

海外から帰国しようとする日本人に対して「それなりの覚悟を持って勝手に出て行ったんだろう?」と言うのであれば、それなりの覚悟を持って日本から出て行った著名人に対しても同じ姿勢で扱うのがフェアな態度だと思います。日本国籍を離脱した真鍋淑郎さんや中村修二さんのノーベル賞を「日本人枠」としてはしゃいでいることに苦言を呈するべきでしょう。そしてなにより、「それなりの覚悟を持って」アメリカへ渡った眞子様を追いかけ回すマスコミにも物申すのが筋だと思います。