2021年10月24日日曜日

僕は日本語の文章に!と(笑)は使いたくない

社内広報誌の片隅に、顔写真とともに自分が書いた短い文章が載ることになりました。とりあえず「だいたいこんな感じかな?」という文面を作文して広報誌の編集担当者へ送ってみたのですが。そしたら、想像していた以上に修正されてかえってきました。念のため申し上げておくと、編集担当者のメールの文面はすごく丁寧で、メールの文面を読んでる限りではご本人の人柄については何も問題を感じるような点はありませんでした。

修正箇所全部がダメというわけではないのです。話が分かりにくいところが分かりやすくなるように説明を補ったりとか、納得できるところもあるのですよ。しかし。僕がフォーマルな文章ではまず使わない「体言止め」に勝手に書き換えられている箇所があったり、そして、なにより致命的だったのは最後が読点(。)で終わっている文章を勝手に「!」に書き換えられたことです。
 
僕は日本語の文章に「!」とか「(笑)」は絶対使いたくないのです。その昔、上司に「酸味げる君、報告書に『~が原因?』みたいに文末に『?』を使うのはやめようよ」と言われたときに、「あなたは日本語のメールに『!』をやたら使いますよね?僕から見たらそっちのほうがはるかに問題です。」と口答えしたことがありました(若かったなぁ)。さておき、僕から見ると世の中には「『!』を使える人」と「使えない人」の二種類の人がいて、ここには大きな断裂があるように思えるのです。

修正された草稿を見た瞬間、怒りとも落胆とも何とも言えない気分になりました。社内の広報誌とはいえ、まがりなりにもコミュニケーション媒体に携わっている人間の日本語に対するリテラシーやデリカシーがこんなにひどいとは思ってもいなかったのです。
しばらくたって冷静になった後でこんな解決方法を考えました。「勝手に文体を書き換えないでください!私は日本語の文章に「!」を使うことなんて絶対にしません!」というギャグなのかよく分からないメールを書いて送り付ける。うん、これは我ながらアイデアとして最高だ。少しユーモアを交えて抗議する方が、ストレートに怒るより断然エレガントだ。
 
でも、そうもいかないのですよ。だいたい、勝手に他人の書いた文章の「。」を「!」に書き換えるようなデリカシーのない奴がこれをギャグとして理解できるとは期待できない。むしろそういう奴に限って、「ふざけないでください!」とか言ってきやがる可能性が高い。。結局、「文体というのは人格の一部ですから、度を越した文体の改変は人格の侵害になります。私にとっては『。』を『!』に書き換えるのは、そのレベルでNGです。」と、わざわざ正攻法で抗議してやることになりました。大人ってつまんないなぁ。。
 
日本人は部署内などの顔見知りばかりの「内」の社会では「阿吽の呼吸」のようなハイコンテクストなコミュニケーションを好むのに、部署や会社が違う「外」に向けては極端にローコンテクストになります。このような外向きの姿勢は「問題が起きないようにするのが最適解だ=事なかれ主義」によって正当化されているのでしょうが。この弊害として「ローコンテクスト」と「相手のコミュニケーションに関するリテラシーを0査定してかかる」ことを混同してしまっている人がいるような気がします。件の担当者の「表面的には穏当で丁寧なメール文面」と、「残念なまでに改変された原稿」を見比べていると、そんなことを考えてしまいました。