2023年8月20日日曜日

少子化対策のモデルとしてフランスは無理筋でしょう

夏休み最終日です。アレもコレもやろうと思ってたけど…まぁいつも通りほとんど何も生産的なことをやらずにぼんやり過ごしただけの夏休みでした。せめてこのblogに1個くらいは投稿しておこうと思います。

自民党女性局の観光旅行としか見えない視察旅行については、色々と非難の声が上がったのは皆さんご存知のことかと思います。これ自体の是非はさておき、日本が本気で少子化対策をするなら、フランスの制度を猿真似しようとするのは無理筋だと思います。

まず、フランスという国は旧植民地出身者も含めた他民族国家なのです。6月にフランスで暴動が起きましたが、あの事件の背景は単純な「移民との格差」という話ではなく、アフリカなどの旧植民地にルーツを持つ人の2-3世代目の人々の不満が背景にあります。彼らは移民ではなくフランス人として生まれているのですが、郊外に設けられた貧しい社会階層向けの区画に押し込められて、文化資本や社会的上昇の機会も十分に与えらないまま育ってきた人達です。

つまり、移民が社会から不当に扱われながらも名目上フランス人になることを第二次大戦の後からずっと続けてきて、移民や移民ルーツの人々によってフランスの人口は見かけ上は支えられているわけです。しかし、日本がそこまで移民を受け入れることができるのでしょうかね?技能実習生という奴隷制度を引き合いに出すまでもなく、日本の現政権は移民や難民の受け入れに対してとても消極的です。

そして、婚姻という制度や婚外子についても日本よりはるかにフレキシブルです。フランスでは同性婚、PACS契約など婚姻についての制度が非常に柔軟です。結婚していないのに子供が何人もいる人だって普通にいます。これに対して、日本の現政権は夫婦別姓や同性婚に対して否定的ですよね。

更に言うと、宗教観の違いというのもあると思います。カトリックでは中絶に対して否定的な文化がありますし、一神教の世界観では「子供を生かすかどうかは神が決める」という感覚が大なり小なりあるようです。だから、難民キャンプでもどんどん子供が生まれたりするそうです。日本で同じことができますかね?例えば日本では高校生が妊娠しても学校は助けてあげるどころか退学させて知らんふりしたりしますよね?

他にも色々思うことはあるのですが、あとは大昔にblogに書いた通りです。フランスと日本では文化的に違いすぎるし、なによりフランスの出生率は現政権が嫌がる移民(多民族国家化)やフレキシブルな婚姻によって支えられている側面があります。日本の少子化を本気でなんとかしたいのだとしても、モデルケースとしてフランスは無いのではないかと思います。

最早少子化は「解決すべき問題」と考えるのではなく、国土に対して人口を適切化するプロセスだと前向きに捉えた方がよいと思います。大きく見れば世界人口は増加の一途をたどっているのですから、そこにブレーキをかける方向に向かっているのは社会貢献と考えてもよいのではないでしょうかね。

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