2020年1月1日水曜日

カルロス・ゴーンは「日本の小ささ」を突き付けて去っていったのではないだろうか?

あけましておめでとうございます。これを書いている現在は2020年です。

なのですが、昨日、つまり昨年末の話をします。年の瀬も迫った大晦日、なんで今頃かいうタイミングで突然降ってきた「カルロス・ゴーン極秘出国」のニュースは、「フジモン離婚」と並んで「しかし、なんでそのタイミングかなー?」という形で2019年に何とも言えない後味を残していったのではないでしょうか。

この件についての日本の報道は「妻が出国の段取りを整えた」とか「楽器のケースに入って出国した」といった表面的な話を取り上げているだけで、本質的な問題については切り込んでいるようには見えません。その姿勢には、うっすらと「都合が悪くなったら結局逃げ出したガイジン」というメッセージが裏書されているような空気だけはあります。

一方で、ネットに目を向けていると、本件については賛否両論に分かれるのですが。この賛否両論の両陣営が全くと言ってよいほど噛み合っていないのです。噛み合ってないというか、左寄りの僕から見ると、右側の論調が結局「日本の入管とか、(彼らの言うところの)パヨクとか、いずれにせよゴーン氏ではない何かを非難する」形にしかなっていないのです。

より具体的な例を挙げて説明すると。左寄りの人がこの件についてコメントすることをまとめると、
・政権に近い側の人間はレイプしようが何しようが逮捕されない
・『桜を見る会』に至っては首相が明らかに詰んでいるのに検察が逮捕に踏み切れない
・このような状況を鑑みるとこの国は、法治国家ではなく人治国家である
・ゴーン氏の逮捕も、日産をめぐる駆け引きの末の国策逮捕的な側面が否定できない
・拘留中の劣悪な待遇も含め、この国には『人権』という概念が明らかに欠けている
・以上より、逃亡は合理的な判断だと言える
だいたいまとめると、こんなところでしょうか。

一方の右側のコメントは
・人質司法というけど、今回は保釈されているんだからそれには該当しない
・入管何やってんだ、ちゃんと仕事しろ
・日本はなんだかんだで甘すぎる。なぜ保釈した?
・レバノンは超人治国家のコネ社会なので、日本政府への引き渡しなんてたぶんしない
・でも、ここでナメられると日本の沽券にかかわるのでレバノンに毅然と立ち向かえ
・それにしてもサヨクが…(本件についてのサヨクの見解に対する悪口)
とかまぁ、言ってはいるけどなんかちょっと分が悪いんじゃないかなと思います。

これらを総じて一言で言うと、カルロス・ゴーンは日本という国の「小ささ」を我々に突き付けて去っていったのではないでしょうか?わかりやすいところから言うと、15億円なんていう保釈金は僕のような庶民からしてみれば大金ですが、世界的な富豪からしてみれば自由の代償としては十分に元が取れちゃうわけですよね?その辺りの勘定があまりに庶民的過ぎたのではないでしょうか。

「レバノン=人治国家のコネ社会」については、ヨソの事をどうこう言えないくらい日本もどんどん人治国家の国になっていて、ゴーン氏の言い分によると彼が日本から逃亡するに至った理由もそこなわけですよね?でも、中東は昔から露骨に「カネとコネ」で社会が成り立っている世界なので。レバノンのヒーローで、世界的な大富豪であるゴーン氏によるレバノン政府への介入なんて、安倍政権よりもはるかにスケールが大きくてエグいんじゃないかと思います。

安倍晋三とカルロス・ゴーンは「短期的な自己利益の追求のためには悪いことだってする」「世の中はカネとコネ」という点では、同じセントラルドグマを共有していると思います。だから、安倍応援団はゴーン氏やレバノン政府を非難できないんじゃないでしょうか。彼らを攻撃することは、自分が応援している安倍晋三や、その国政運営をも否定することになってしまうわけです。結果的に、安倍応援団は本件について入管だったり彼ら言うところのパヨクだったり、そういう人達に対してどこか歯切れの悪い攻撃をするだけになってしまうのではないでしょうか?

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