2019年9月1日日曜日

子供向け番組を通して見える日本のジェンダー

うちの娘も幼稚園に入るまではスーパー戦隊やウルトラマンをわりと喜んで見ていました。現役でテレビでやってる特撮だけでなく、ウルトラマンタロウとかジャッカー電撃隊とか、妙にシブいものをツタヤで借りてきて見てた時期もありました。が、幼稚園に入ったあたりからはジェンダーに対する意識が割と明確になってきたのか、特撮を一緒に見ようと言うと「えー、それって男が見るやつじゃん」とか言うようになりました。
しかし、テレビの放映はプリキュアが終わったらその後に仮面ライダーとスーパー戦隊が続く「スーパーヒーロータイム」になっておりまして。プリキュアの後の惰性でぼんやりとではありますが僕は一応ストーリーを追える程度にはスーパーヒーロータイムを見ています。この8月末をもって仮面ライダージオウが終了したのですが、この最終回を見ながら考えたことを少し書いてみようと思います。

仮面ライダージオウでは、仮面ライダー側にツクヨミという女の子キャラが出てきます。当初はこれと言って特殊な能力を持つキャラではなかったのですが、だんだん最終回に近づくにつれて、実は悪者のボスの妹であったことが明らかになってきます。そして、最終回の一話前になって、このツクヨミは仮面ライダーに変身しました。仮面ライダーの歴史上かなり画期的な女性の仮面ライダーが誕生したわけです。
仮面ライダーについてはこの一作前のビルドでも同じような立ち位置の女性キャラクターがいました。さすがに仮面ライダーに変身まではしないのですが、物語の終盤までは特に普通の人だったのに、終盤になって実は火星の王妃の魂が乗り移っていたことになって、あんなことやこんなことをする…という展開でした。

最近の男の子向けの特撮って、特殊能力を持たない普通の女の人があんまり出てこないんですよね。もちろん、スーパー戦隊シリーズでは必ず戦隊の中に一人は女性がいるのですが、あれは変身して戦うという特殊能力をしっかり持っています。僕が言いたいのは、
・大昔の仮面ライダーなどに出てきた、子供やヒロイン的立場の女性
・戦隊モノの特撮に出てくる、司令官の補佐役の女の人
みたいな、これと言って特殊能力を持たない人が最近の特撮には出てこないように思うのです。
ここに、今の世の中の世相が反映されているような気がするのです。例えば安倍政権の「女性の活用」なんかは典型的だと思うもむのですが、「女性の活用」と言いいながらも、例えば稲田朋美とか片山さつきみたいな、ああいう男社会の中で価値を認められる女性にしか社会的な立場を認めていないですよね?最近の男の子向けの特撮を見てると、どうもあの「女性の活用」と同じ匂いがするように思うのです。

ゲストキャラとはいえ、女性の仮面ライダーである「仮面ライダーツクヨミ」が誕生したことは、一期前のプリキュアで男性のプリキュアが誕生したことと相似形の出来事で、ジェンダーの垣根が解体されつつあることを象徴しているようにも見えます。しかしその一方で、結局は男社会の都合に合わせられる女性にしか活躍の場が与えらえてないという日本の有り様もそのまま男の子向けの特撮には反映されているように思います。
ちなみに、ここから上の世代に上がって少年漫画になると、女性キャラには「萌え」や「無駄に巨乳」などの性的な愛玩要素が加わってきて、話がややこしくなります。しかも、その性的愛玩要素を持った女の子が戦ったりする(「艦これ」とか「ガルパン」なんかをイメージしてください)となる…とまぁ、こうやって書いてて思いますが、冷静に考えたら結構な変態ですよね。日本人って。。

登場人物が全員ゲイの仮面ライダーとか、男だけのプリキュアとか、そんなものが出てくるような時代になれば相当面白いと思うんですけどね。。

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