2018年1月3日水曜日

MeTooは反知性主義=幼稚な男性原理へのカウンターに見える

2018年になりました。今年の正月は10連休なのですが、本日は早くもその折り返し点にあたります。これだけ長く休むとだんだん休みそのものにも飽きてくるのですが、かといって会社に行きたいかと言うとそういうわけでもない。。という正月休みを過ごしています。そんなこんなで、とりあえず長期休暇恒例の「いつか書こうと思ってたけど面倒くさそうだから二の足を踏んでいた話」を一つ書いてみようと思います。
本稿で言いたいことは、タイトルにもあるように、ここ最近盛り上がりを見せているMeTooのムーブメントは、反知性主義および幼稚な男性原理へのカウンターなのではないか?ということです。一応説明しておくと、MeTooというのはハリウッド業界人のセクハラ疑惑告発に端を発して、政治などあらゆる分野でのセクハラを告発するムーブメントです。

このMeTooというムーブメントを考えるには、発端となったアメリカという国について考える必要があると思います。我々日本人から見るとアメリカという国は「自由、平等、人権」といったことに非常に意識が高い国のように見えます。確かに表面(タテマエ)上はアメリカはそういう国だということになっているのですが、一方で実態としてのアメリカにはいまだに人種差別は根深く残っています。これは奴隷と移民によってできたアメリカという国の成り立ちと不可分で、「忘れたいけどいつまでも忘れられない」「無くしたいけど無くならない」という病のようなものなんだと思います。
人種差別と並ぶアメリカの病としてアメリカン・ミソジニー(女嫌い)というのがあって、これもアメリカという国の成り立ちと深く関係しています。曰く、西部開拓時代のアメリカはあまりに危険すぎるので男女比が極端に非対称で女性があまりに少なかったらしいのです。この時代には、女性の伴侶を得ることが無いまま死んでいった男性がたくさんいたんだそうです。このような経緯で発展した結果、アメリカは「ミソジニー(女嫌い)」文化の国となった、というわけです。

このアメリカン・ミソジニーはまさかのヒラリークリントンの落選→トランプ当選という結果を招いた一因ではないかと言われています。上記の引用記事がどこまで本当かわかりませんが、アメリカ人男性の1/4は女性が大統領になることに対して「怒りを感じる」と答えたそうです。トランプの大逆転をもたらしたのはミソジニーだけでなく不法移民への差別感情など、アメリカ人の反知性主義的な本音を肯定して見せたことなんだと思います。そして、その後のトランプの暴走ぶりは、彼に投票したアメリカ人の本音をそのまま反映したものだとも言えるのでしょう。
さてここでMeTooの話なのですが。MeTooというムーブメントはトランプに象徴される反知性主義/幼稚な男性原理に対するカウンターなのではないでしょうか?極端に言うと、もしも大統領になったのがトランプではなくヒラリーだったら、MeTooというムーブメントは起きなかったかもしれません。河合隼雄が切断する父性、包含する母性と言っていたように、世界中の争いの大半はアホな男のつまんない意地の張り合いで出来ています。北朝鮮とアメリカの対立なんてその最たる物で、アホそうな男二人のせいで人類は再び核戦争の危機に瀕しているのです。MeTooはこういった男性原理による世界の分断に対するカウンターとして世界中に飛び火したのではないでしょうか。

最後に伊藤詩織さんの件について。
MeTooのムーブメントに少し先駆けて告発を行った伊藤詩織さんの事件は、MeTooの勢いもあってかNYタイムズの1面で取り上げられるなど、再び光が当たりはじめました。日本のマスコミはこの件をお得意の忖度によって本件についてはこれまでほぼ黙殺したままですが、海外メディアがこれだけ取り上げたことによって日本のマスコミや安倍政権も無視はできなくなると願います。
伊藤詩織さんの告発も安倍政権という反知性主義的な政治姿勢に対する女性からのカウンターであり、大局的にはMeTooと同じ文脈にあると思います。このような動きが世界中で同時多発的に発生していることは偶然ではなく、こういうところからトランプ政権や安倍政権のような反知性主義=幼稚な男性原理が沈静化していくことを願います。


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